PLP会館 大阪地方自治研究センター 研究員 尹 誠國
筆者は人間を評価するのは至難の業だと日々痛感しているが、様々な利害関係の錯綜する政治の世界における人間の評価はなおさら難しいだろう。そのため、政治家に対する評価は、制度という形で行われる。選挙はその最たる例かもしれない。
ここで韓国に目を向けよう。韓国では、18歳以上の国民が直接選挙で大統領を選ぶ。2022年3月の選挙で筆者も一票を投じた。この選挙では尹錫悦候補が当選し、同年5月に尹政権が誕生した。
4月20日には国会議員総選挙が予定されている。この総選挙は尹大統領と、2022年3月の大統領選挙で当時尹候補に苦杯を飲んだ李在明氏が捲土重来を期するために再対決する構図となっている。この選挙が尹政権に対する中間評価と言われるゆえんである。
尹大統領は2027年5月で任期満了となる。韓国の憲法の規定上、大統領の任期は5年で再任ができないため、任期満了と同時に一私人になる。そのため、この総選挙は総選挙後の政局の動きや政権運営だけではなく、尹元大統領の将来にも大きな影響を及ぼしかねない。仮に「共に民主党」が勝てば、韓国の歴代大統領が経験したような不幸な歴史が繰り返されないと言う保証はどこにもない。
そして、尹政権にしてはやや気になることが既に起きている。2023年10月11日のソウル特別市江西(カンソ)区長選挙は4月に行われる国会議員総選挙の前哨戦とも言われているが、尹大統領とつながりのある「国民の力」の候補が、「共に民主党」の候補に得票率で17.15%の差をつけられ敗北した。国会議員総選挙を半年後に控えたこの時期、ソウルの区長選挙での敗北が、尹政権や「国民の力」にとって大きな懸念材料となったことは間違いない。選挙での敗北後、「国民の力」は党の刷新のため様々な努力をしているが、内部では分裂の動きもある。
4月の選挙では、筆者も領事館に行って一票を投じるつもりである。「勝負は兵家の常」であるが、この人選んで良かった思える候補に勝ってほしい。