民間の有識者会議「人口戦略会議」は4月24日、「令和6年・地方自治体『持続可能性』分析レポート-新たな地域別将来推計人口から分かる自治体の実情と課題-」と題するレポートを公表した。2014年に日本創生会議(座長:増田寛也)が「消滅可能性都市リスト」を公表して10年が経ったことを機に再試算した。今回、増田氏は副議長として参画。
このレポートは昨年12月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した地域別将来推計人口をもとに分析したもので、2020年から2050年の30年間に若年女性(20歳から39歳)人口が50%以上減少する自治体を「消滅可能性自治体」とし、該当する744の自治体名を公表した。
また、今回の分析では社会的要因による人口移動を加味しない「封鎖人口」という概念を導入し、減少率は50%未満でも「封鎖人口」の減少率が50%を超える自治体を「ブラックホール型自治体」とラベリングし、自然減対策のへの注意喚起を行っている。東京都の特別区や大阪市、京都市などが該当している。もっとも若者の移住による若年女性人口の回復がみられる自治体も同じカテゴリーに分類されてしまうという混乱も見られる(北海道・喜茂別町、占冠村、東京都・青ヶ島村など)。
大阪府の自治体では「自立持続可能性自治体」とされたのは島本町のみ(全国でも65自治体のみ)。大阪市が前述のとおり「ブラックホール型自治体」とされ、富田林市、河内長野市、柏原市、門真市、泉南市、阪南市、豊能町、能勢町、岬町、太子町、河南町、千早赤阪村が「消滅可能性自治体」に分類された。
このレポートが自治体政策や地方創生事業にどの程度の影響を与えるかは未知数だが、「消滅可能性」に続き「ブラックホール型」というセンセーショナルなネーミングに惑わされずに、地に足の着いた地方活性化の取り組みが求められる。同時に、このレポートを根拠とする国の政策動向についても注視が必要だろう。